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超私的旅行記「なぜか上海」

ちょっと遅めの夏休みをとって上海に行ってきました。

50歳を過ぎてから、中学高校時代の仲間たちと毎年夏に「アホのおっさん旅行」を開催しているのですが、メンバーのひとりがなんと上海に転勤になったため「じゃあみんなで行っちまえ」ということになったのです。

自慢じゃあありませんが飛行機ぎらいのわたしは10数年前にハワイに行ったきり海外には行っていません。

ましてや中国に行こうなんてこれまで一度も思ったことはありませんでした。

今回は、そんな海外ドシロウトのわたしがはじめての中国で見て感じたことを書いてみようと思います。

超私的旅行記 「なぜか上海」

成田から飛行機で約2時間40分、そのうちの半分以上は日本上空を飛び九州を超えて海の上に出たら間もなく中国大陸だ。案外近い。

中国に近づくと気のせいか、なんだか雲が黄色いような・・・ 黄砂なのか?まさかPMなんちゃらのせいか?

と、思う間もなく今度は海が見えてきた。

はじめて見る中国の海は・・・ ちゃ、茶色い!

なんだこの汚い海は、こりゃあ釣りなんか絶対できない、きっとナマズしかいないにちがいない。

とかなんとか初心者丸出しで騒いでいるうちに上海浦東空港に到着。

ついにきてしまった中国。

だだっ広い・・・はてしなくだだっ広い、そしてなんだかほこりっぽい それが最初の印象だ。

友人が中国人運転手つきの車で迎えに来てくれた。

はじめは運転手つきなんてぜいたくなと思ったが、少し走るとすぐに理由がわかった。

片側5車線も6車線もある高速道路を、ものすごい数の車が走っていて次々と車線に割り込んでくる。しかも数センチ単位の幅寄せで。

ひっきりなしにクラクションが鳴っていてナンバープレートのない車まで走っている。

こんなところで日本人は絶対に運転できない!

しかし中国人運転手の孫さんはまったく意に介する様子もなく涼しげな顔で車を走らせる。

これには驚いた。いきなりのカルチャーショックだ。

一般道に降りるとさらなる衝撃が。

なんとバイクが逆走してくる。3人乗りのやつらもいる。

友人によるとミニバイクには交通ルールがなく歩行者と同じあつかいなんだそうで、道路の逆走も歩道を走るのもあたりまえ、信号なんてあってないようなもの、これがそこらじゅうを走っていてこれまたクラクションを鳴らしまくっている。

この街では外にいるあいだつねにクラクションの音が鳴っている。聞きしに勝るとはこのことだ。

なんちゅう国だと思ったが、しばらくするとあることに気がついた。

それは、日本人が鳴らすクラクションには「何やってんだ、こら!」という怒りや威嚇が入っていることが多いが、


中国人のクラクションは「わたしはそこを通るぞ」という意思表示だということだ。

友人が言うには、こちらもひるまず「おれもここを通るんだ」と強い意志を示せという。

そうか、日本の10倍以上の人間がひしめくこの国では遠慮なんかしていたらあっというまに大衆の渦の中に埋没してしまうんだ。

話すときも日本の日常会話ぐらいの音量では「ひとりごと」としか認識されないらしい。

日本人からすると、中国人は声がでかくていつも怒っているように感じてしまうのはこういうことだったんだ。

そんなふうに理解すると、なんだか街の見え方も変わってきておもしろくなってきた。

確かにあっちこっちで激しく言い争っているような光景に出くわすが、つかみ合いになるようなことはなく、おたがい激しく主張しながらじょじょに落としどころを見つけておさめていくのだそうだ。

そう考えると、表面上は「いえいえ、いいんですよ~」とか言いながら腹のなかで「まったく頭にくるぜ!」と思っているかもしれない日本人のつきあい方より、むしろ健全で清々しくさえ思えてくる。

上海の中心街に入ると、今度はものすごい数の高層ビルが出迎えてくれた。通りの看板の意味不明な中国語がいやでも異文化を感じさせてくれる。

その後、古い楼閣が立ち並ぶ豫園商城から日本の銀座のような繁華街の南京東路を巡り、定番の小籠包を食べながら青島ビールで乾杯して、これまた定番の上海雑技団を見る。

翌日は、少し足を延ばして「東洋のベニス」といわれているらしい運河の町、蘇州から4大庭園のひとつの留園を周る。

おそろしいほどの数の人と車とクラクションはどこにいっても健在だ。

昔からのアホ仲間なので、ああじゃあこうじゃあと大笑いしながらあっという間に3日間の日程が過ぎていく。もしかすると我々のほうが中国の人よりうるさかったかもしれない。

上海の街では、きれいに化粧をしてミニスカートをはいた女の子たちと、せいいっぱいおしゃれをしてかっこつけた男の子たちがそこらじゅうで恋愛を楽しんでいた。

その横を自転車の荷台になんだかよくわからん段ボールみたいな荷物を山のように積んだほとんど下着姿のおっさんがふつうに通り過ぎていくが誰も気にしていない。

きれいなショッピングセンターやレストランが立ち並ぶ通りも足元を見るとそこらじゅうにゴミとたばこの吸い殻が落ちていて、おっさん、おばはんが平気で道ばたに唾をはいている。これまた誰も気にしていない。

この物質的な文明の急速な発展と文化レベルの未熟さのギャップは、まるで昭和30年代から40年代の日本のようだ。

いっしょに行ったメンバーの中でも喫煙者の連中は、久々の路上喫煙を満喫していた。

海外事情に疎いわたしは、正直なところ、日本語が聞こえたらにらまれたりするのでは、などとあらぬ心配をしていたのだが、少なくともものすごい勢いで経済成長を続けその恩恵を享受しようと中国全土から怒涛のように人が集まってきているこの街では、日本人がどうだとか、対日感情がどうだとか、そんなちっぽけなことはどうでもいいことのように感じられた。


そして、凄まじくやかましいこの街の人たちは、なんだかとても純粋に思えた。

中国の、それも上海のほんの一部をチラッと見ただけではあるが、ちょっとだけ人生観が広がったような気がした3日間だった。

また行ってもいいな。


※「なぜ大企業ではイエスマンが出世してしまうのか?」の続きは次号からお送りします。

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