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庄司 充

数字だけでは業績が上がらないのはなぜ?

突然ですが、先日ある会社のコンサルティングをしていたときのこと、社長さんが「庄司さんこれちょっと見てくださいよ」と言って私にある資料を見せてくれたことがありました。


 一体何だろう、と思って見てみると・・・・「○○社事業再生に向けての提言」といったタイトルがついています。どうやら、経営が思わしくない会社を立て直すために、事業再生コンサルティング会社が入って調査してまとめたレポートらしいです。


 パラパラとめくってみましたが・・・・正直さっぱり分かりません(笑)

 おいおいおまえもコンサルタントだろうが! なんて突っ込まれそうですけど(汗)、コンサルはコンサルでも私は営業チーム作りが専門なので、会社全体の事業再生のような話はちょっと畑違いなんですよ。


 ただ、わかったことが1つあります。

 それは、少なくとも営業チームの成績向上のためには、その「事業再生レポート」は役に立たないだろうな、ということです。そこは通算50社の営業チームづくりを見てきた私の経験上、断言できることでした。


 いったいどういうことか、というと、たとえばこういうお題目ですね。


目標:販売体制の改革を進め、120%の売上を達成する

個別施策

  取引業界の新規開拓と見直し

  売り場作りの提案力強化

  訪問件数の2倍増


 営業改革の欄を見るとこんな項目が並んでますけど、どれも具体性がまったくありません。


 ああ、こりゃ営業やったことのない奴が書いてるな・・・

 思わずつぶやきが口に出てしまったぐらいです。


いやいや、書いてあることはもっともなことですよ、よちろん。

だけど、大事なことはこのレポートには お金がかかっている ということです。


 たとえて言うなら、野球選手が巨額のお金をかけて雇ったコーチに


今シーズンは打率を3分向上させる!

そのためにはヒットを15本多く打つ!

そのためには練習量を倍にする!


以上 じゃあがんばって!


 と言われているようなもんです。

 「あ~、これが世にいう『あるべき論』かあ・・・」と妙な感心をしてしまいました。


 そりゃ「15本多く打つ」と言って打てれば苦労はしませんって。

 たとえば野球の選手だったら、ヒットが打てない原因を探してそこに手を打たなきゃダメですよね。

 選球眼が悪いのか、スイングが遅いのか、投手の配球データがないのか、筋力がないのか、足が遅いのか、等々、打てない原因は千差万別なはずで、それを見きわめて手を打っていかないと「ヒットを15本多く打つ」という目標は達成できません。


 営業だって同じです。「訪問件数の2倍増」と言われて実際2倍訪問して売上増えればいいですが、たいていそんなにうまくはいきません。

 法人営業では契約を取るまでに何度かの訪問が必要です。そこで見込み客リストの中でも「見込み度」の高い会社と低い会社に分けて、それぞれ営業の進捗状況を管理します。



 ここが大事なところなんですが、見込み度の高いAランクの会社が何社あって、Bランクの会社が何社、それぞれ何回訪問している、といった数字を把握することは必要ではありますが、数字だけ見ててもダメなんです。

 もっと大事なのは、その数字が出てくる理由です。

 たとえばある会社をAランクにするのかBランクにするのか、その判断を間違えていたら、見かけ上Aランクが何百社あっても意味ありませんよね。

 その状態でAランクへの訪問件数を増やしても、一社一社が手薄になるだけで、逆に売上が下がることだってあります。

 だから、


  訪問件数の2倍増


 なんて書いても無意味なんです。「ヒットを15本多く打つ」という目標と同じことで、そのために何をやるのかが問われます。


 で、そのために何をやるのか。

 「意味のある訪問件数」を増やして、実際に売上を上げるために何をするのか。


 ここで、ものすごく細かな判断の積み重ねが必要になります。

 この「判断」はアナログ的なもので、デジタルな数字には表せません。

 だから、


数字で目標を示すことは大事だけれど、でも、

数字をそのまま見ていても業績は上がらない


 のです。

 では、優秀な営業リーダーは、どんな「アナログ的な判断」を日々行っているのか、それを次回書いてみることにします。

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