大手企業のリーダーたちへ
今回は、以前にわたしがクライアント企業のリーダーたちに送ったメールの内容をお送りします。
この会社は、誰でも知っている大手企業ですが、多くのリーダーが、新規開拓のために中途採用で入った社員たちとの関係がうまくいかずに悩んでいました。
そこには、大企業病ともいえる原因があったのです。
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○○株式会社 営業リーダーのみなさんへ
メンバーをイキイキと動かすためにもっとも大事なことは
「何のためにやるのか?」
つまり、目的をしっかりと伝えることです。
たとえば、コピーをたのむときでも、ただ「これ、コピー取っておいて」と言うのと
「これ、大事なお客さんへのプレゼン資料なんだけどコピーたのむね。」と伝えるでは、たのまれた人の行動に大きな差が出ます。
何のためにコピーを取るのか?がわかっていれば、 「あのお客さんが決まれば今月のチーム目標が達成できるはずだ。よーし、会社の印象
をよくするために、端をきっちりそろえて、ホチキスも曲がらないようにしっかり止めよう」 と、主体的な行動が取れるようになり、工夫の余地も生まれます。 主体的な行動は、必ず「いい仕事」に結びつきます。 その仕事に対して、 「すごくきれいにコピーしてくれてたね。おかげで、お客さんの評価も上々だったよ。きっと契約になると思うよ。助かった、ほんとにありがとう。」 というように、しっかりと結果の報告と感謝の気持ちを表せば、メンバーとのあいだに連帯感と信頼感も生まれます。 もしも、「これ、コピー取っておいて」としか言わなかったら、相手は「なんだよ、めんどくさいなあ。コピーぐらい自分でとればいいのに」としか思わなかったかもしれません。 コピーひとつとっても、「何のためにやるのか?」をしっかり伝えるだけで、これだけ結果に差が出るのです。 しかし、組織で仕事をしている多くの人がこんなあたりまえのことを忘れてしまいます。 それはなぜか? 組織では、いちいち「何のためにやるか?」なんて説明しなくても、上司が「やれ」と言えば、部下はやらざるを得ないからです。 組織が大きくなればなるほど、そこには厳密なヒエラルキーが存在して、役職による上下関係は強くなります。 会社が決めた上下関係があれば、とりあえず人を動かすことはできてしまうのです。 このことが、本来、人を動かすために必要な「何のためにやるのか?」を説明するという作業を忘れさせてしまいます。
もちろん、上司に言われれば部下は動くでしょう。 だけど、 「意味もわからずに仕方なく動く」のと、「目的をしっかり理解して主体的に動く」のでは、仕事の質に雲泥の差が出るのはあたりまえのことですよね。 優秀なリーダーは、チームで何かに取り組むとき、人を動かすときには、まず「何のためにやるのか?」を説明することに、ものすごいパワーをかけます。 事前に、説明の仕方や言い回しをしっかり考えて、メンバーが不安や疑問に思いそうなことをあらかじめ想定して、質問に対する答えも準備してからメンバーに伝えます。 あたかも大事な顧客にプレゼンに行く前のように入念な準備をします。 伝えている最中も、メンバーが理解できているか、納得しているかをしっかり見きわめながら、納得が不十分なようであれば言葉を足したり、納得いかない部分を聞き出したりして、メンバーの目が、確信で「キラッ」と輝くまで説明する努力をします。 「そんなめんどくさいことを」と思われるかもしれませんが、それが逆なのです。 これをやっておくで、あとが圧倒的にラクになるのです。 上司に言われたから仕方なくやる場合は、「めんどくさいなあ、まあ怒られない程度にやっておけばいいや」という意識が働きます。 このような仕事は、当然ながら「いい仕事」に結びつくことはありません。 しかし、「何のためにやるのか?」を理解して、自分の役割に納得して目が「キラっ」と輝いたメンバーは、その目的に対して積極的な貢献をしようと、自ら動き始めます。 「これ、こんなふうにしてみたらどうでしょう?」 「こんなやり方って、ありですか?」 などと、まかせておいてもアイデアがどんどん出てきて、最終的には、期待以上のびっくりするような成果を上げることがよくあります。 そのときのリーダーの仕事といえば 「うん、それはいいね、やってみて」とか「ああ、それはおもしろいアイデアだけど、ちょっと目的からずれるから少し修正が必要だな」とか、メンバーの作業の調整をしていくだけです。 人は「共通の目的」を持った仲間たちとともに働き、チームに「貢献できた」ことに、ものすごく喜びと誇りを感じます。 この感覚をつかんだチームは、何をやるときでもその快感を得たくて自発的に動くようになるのです。 メンバーが最高のやりがいをもって動き出せるように 「何のためにやるのか?」 を、意義とワクワク感をもってしっかり伝えられる力が、リーダーにとって、ものすごく重要なスキルなのです。
ぜひ、意識して動いてみてください。
庄司 充
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