営業ができるから営業を教えられるとは限らない
これまで読んでいただいた方はご存じのことでしょうが、初めて私の記事を読む方のためにさりげなく補足しておくと、私は「営業に困っている中小企業のために、営業チームを元気にするコンサルティング」を行っています。
クライアントとして多いのは、
社長は営業が出来るんだけれど、それを部下に教えられない。
だから部下が育たず、「なんでこんなこともできないんだ!!」
と社長はついつい怒りっぽくなってしまう
というそんなパターンです。
で、あるときそんな話をある人としていたら、ちょうどこんな会話になりました。
庄司:・・・というわけなのよ
開米:あー、ありますよねそういうこと。人って自分が当たり前にできることはなかなか人に教えられませんからね
庄司:あ、そうかそういうことか!
このときの話し相手は誠ブログでも「読解力図解力と教える技術の謎解きブログ」を書いていて有名な開米瑞浩さん。
そういえばそうです。これで思い出したんですが、以前わたしが新人営業マンのトレーニングを担当した会社で、ひとりだけぜんぜん売れないSくんという子がいたんですね。
ひとりで夜遅くまで残って一生懸命プレゼンの練習をしてがんばってるんだけど、なかなか成果につながらない。
「おかしいな?」と思って、一度営業に同行してみたらすぐに原因がわかりました。
Sくんはなんと、一生懸命練習してきたトークのことで頭がいっぱいで、お客さんが話してるときに、ほとんど相づちをうってなかったんです。
それで、お客さんとの話がぜんぜん盛り上がらなかった。
庄司「Sくん、原因がわかった。君に足りないのは相づちを打つことだ!」
Sくん「えっ?・・・」
庄司「相づちだよ相づち、へー、なるほどー、そうなんですねー、この3つの言葉を使うだけで君は売れるようになるよ、さっそく練習しよう!」
Sくん「は、はい・・・。」
それから、世にも不思議な相づちの練習が始まりました。
はじめは戸惑っていたSくんでしたが、それまで悩んでいた分、ワラをもすがる思いだったのでしょう、真剣に相づちの練習に取り組みました。
すると次の日、さっそくSくんからわたしの携帯に電話が!
Sくん「すごいです!お客さんが3倍しゃべってくれるようになりました!」
それはもうはじけるような声でした。
それで自信を取り戻したSくんは、1年たった今では会社のトップ営業マンです。
アポ取って営業に行ったらまずは雑談をして空気をほぐす、相手の話を聞きながらきちんと相づちを打つ、ということ。できる人にとってはあまりにも当たり前すぎて、それが出来ない人がいる、なんて夢にも思わなかったんです。
普通、相づちを打つことを教えるなんて考えませんよね。
庄司:ということですよね。自分では営業ができる社長って。
開米:だと思いますよ。自分が何をやってるのか自覚しないまま出来ちゃってるんでしょう。自覚しないぐらいだから難しいと思ってないんです。本人にとっては当たり前すぎて・・・
庄司:まさかそれが出来ない奴がいるなんて夢にも思ってない!
開米:そうそう
庄司:だから、自分でやればできるんだけど、人には教えられない。
開米:ってことじゃないですか? 庄司さんはそこを自覚できるようにしていくことでコンサルティングをやってるんですよね。
まさしくそうなんです。私のような営業コンサルタントは、まさに
「営業」という仕事は何をすることなのかを自覚できるようにして、
それを営業チーム単位で日々改善していけるように仕組み化する
ことをお手伝いするのが仕事です。
中小企業の社長は自分で営業が出来る人が多いのですが、いつまでも社長頼みでは会社は成長していけません。人材が育ちません。
会社がもう一度成長を続けるためには、社長が動物的に野性のカンでやって成果を挙げてしまっていた営業の仕事を、誰でもできるように分解し、見える化し、継続的に改善されるように仕組み化する必要があります。
それが、営業コンサルタントの役割なんですね。
あー、そういえばコンサルタントのなかには、やたらとダメ出しをして怒ってばかりの人もいるようですが、わたしの場合、自分が怒られるとやる気がなくなるタイプなので、クライアントにも怒るということはまったくありません。
たまに、怒られるのが好きなMッ気の強い人たちもいるみたいで、やたらとおじさんたちを怒鳴りまくっている関西弁のおばさんのトレーニングが盛況だったりするようですが、そういうのが好きなタイプの方は、私のコンサルは受けない方がいいですね(笑)
わたしはクライアントがもともと持ってる良さを引き出すことが仕事だと思っているので、むしろ、どうやって笑わすかを考えています。
リラックスして仕事を楽しめるようになってほしいですね。
だから社内に笑い声が増えていくことを目指しています。
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