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庄司 充

会社が民主主義じゃあうまく行かない理由とは?

 前回、「絶対に怒らない営業コンサルタント」と呼ばれている話をしましたが、それでひとつ思い出したことがありました。  そもそもあれです、「怒らない営業コンサルタント」という話がどうして出てきたか。  「営業部長」ってやたらと怒っているイメージがあるみたいなんですね。  部下をノルマで締め上げて、達成できないと「たるんどる!」とか「やる気あんのか!」とか「気合いだ!気合い!」あ、これはアニマル浜口ですけど、当たらずといえども遠からず。  おそるおそる、「あの、このお客様にはB商品のほうが合っていると思うんですけど・・・」 と進言しようもんなら、「つべこべ言うな!」とまた怒られる、そんなイメージありませんか?  実は私のクライアントの何社かで、そんなケースに出会いました。  登場するのは、創業者の息子の2代目社長。  たたき上げの初代がゼロから作り上げて大きく育てた会社を引き継いで社長となった若き2代目経営者。初代と違って高学歴、留学経験があることも珍しくないしPCスキルも高い。マーケティングやドラッカーなんかもよく勉強している。  ところがところが、そんなスマートな若社長が往々にしてはまってしまうある失敗のパターンがあるんです。それは、 会社を民主的に運営しようとすること  意外でしょうか。えっ、民主的じゃダメなの? と思われるかもしれませんね。  実は私も最初はわからなかったんですが、何例か見ていてはたと気がつきました。  あ、こりゃだめなんだ・・・会社って民主主義じゃうまく行かないんだ。と。  落ち着いて冷静に考えてみるとですね。一代で会社を大きくした創業社長ってワンマンタイプが多いんです。代表的なのがソフトバンクの孫さんかな。  社長の一存ですべてが決まってしまう、そんな会社、そんな社長さん、きっと読者のみなさんも心当たりありますよね。  そういうワンマンタイプは、よく怒ります。社内で部下を怒鳴りつけて動かすなんて日常茶飯事。そしてそれを見てきた2代目社長が経営を引き継いだとき何が起こるかというと・・・ 「ああいう社長にはなりたくない」  という意識が働くケースが往々にしてあるわけです。  我が親ながらその強権ぶりが見苦しくてしかたない、俺はあんな経営者にはなりたくない。親子だからこそ反発してしまうときもあります。教育レベルも高いので、社員の力を活かす美しき経営思想や経営管理の方法論の知識もある。目指すのはそんな経営。俺はきちんと社員の話を聞いて、自律的な行動を尊重し、社員の活力を引き出すマネジメントをしていこう・・・と願って民主的な経営を始めると、  失敗します。  だいたい、うまくいきません。そんなケースを何度も見ました。  思うに、社員の活力を引き出すとか、そのために自律的な行動を尊重するとか、スローガンはいいんですけど、それが成り立つためには社員のほうもある程度人間として、ビジネスマンとして成長していなければダメなんですね。  ワンマン社長の下で育った社員は、自分で考えて決断し行動することに慣れていない場合が多いです。だから、まずは「自分で考える」ことができるような社員が育つ環境を作ることからやらなきゃいけない。  それに気がついたとき、実は、私自身がやってきたことの意味もよくわかってしまいました。  私自身がやってきたこと、というのは実は2代目社長の理想の形なんですよ。  前回の記事を読んでいただければわかると思いますが、営業コンサルの現場では私はほとんど怒りません。怒らずにボケツッコミを通して営業マン1人1人を鍛えていく、そんな役割を演じています。 (前回記事より引用) 営業マン1人1人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン1人1人の「判断力」が上がっていくように。  そうやって1人1人の成長をうながしているうちに、自力でいい判断ができるようになり、私の力を必要としなくなったら、そこでめでたく営業コンサルからは卒業です。ここまでいけば、2代目社長の理想の経営ができるはず。  でもそれは、「ここまでいけば」の話です。  「ここまで」いくための仕掛けがいろいろと必要なんですよね。  じゃあいったいどんな仕掛けが必要なのか。  2代目社長の理想の経営ができるように、営業社員のレベルアップを図るために必要な打ち手、それは一体何なのか? それは、次回のお楽しみです(笑)


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