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庄司 充

仕事は楽しくやる

確たる信念もなくへらへらと生きてきたわたしではありますが、仕事に関してはひとつだけポリシーらしきものがあります。 それは"楽しくやる"ということです。 とりたてて意識をしていたわけではないのですが、前職のときもなぜか他チームのメンバーから「庄司さんのプロジェクトって楽しそうですね~」と、しょっちゅう言われていたし、今でもクライアントの社員の方が「庄司さんに教わるようになってから仕事が楽しくなってきました!」と言ってくれます。 これはわたしにとっては最高のほめ言葉で、ものすごくうれしいことです。 そう言われてあらためて考えてみると、わたしはものすごく小心者で人から押しつけられる緊張感がひどく苦手なのだと思います。 子どものころから人を恫喝するような怖い人がいると、頭がまっ白になってしまって身動きが取れなくなってしまいます。 だから、星野監督のような怖い監督のもとでは働きたくないし、関西弁で参加者を罵倒しまくるおばはんのセミナーには出たくないし、北●鮮では絶対に幹部になれない自信があります。 わたしが楽しく仕事をすることを心がけているのは、そのほうが力を出せる人が多いと思うからです。 適度な緊張感は必要ですが、わたしのようなヘタレの人間にとって強すぎる緊張感はかえってその能力を下げてしまいます。 リラックスして「おもしろそう」「楽しそう」「やってみたい」で動いたほうがいい結果につながると思っているし、実際にそうやって実績を上げてきました。 よく、オリンピックの代表選手なんかが「楽しんできます」というようなコメントをすると「遊びじゃないんだ」と言って批判する人がいますが、あれは「緊張して力を発揮できないようなことがないようにリラックスして望みたい」という意味で言っているのでしょう。わたしにはものすごくよくわかります。 そんなわたしにとって、はじめて入った会社がリクルートだったことはほんとうにラッキーだったと思っています。 わたしが入社した80年代は、軍隊のような強制力で人を動かす会社がまだあたりまえのように存在していましたが、リクルートには人を恫喝して動かすような雰囲気はいっさいありませんでした。 ほかの営業会社が体育会系の部活動だとすれば、リクルートは文系のクラブ活動みたいな感じで、真剣なんだけど上司や先輩が絶対ではなく、新人でも意見をちゃんと聞いてもらえてもらえるし、まれに先輩や上司がまちがっていれば「すまんすまん、お前が正しかったわ」と、言ってくれるような社風でした。 リクルートのように急成長を続けている会社がそういう社風だったことは、自分の考えがまちがっていないという大きな自信になっています。 では、なぜリクルートは強制力を使わなくても急成長することができたのか? それには3つの要素があると思います。 ひとつめは ・会社やチームで目指すものが明確に共有されていたこと ふたつめは ・それを達成するための役割分担が明確にされていたこと みっつめは ・活躍した人をみんなが称賛する空気があったこと です。 たとえば、「本社ビルの前の通りは、 リクルート通りと言われるぐらいの会社になろう!」そのために「まず今年度は、全社一丸で1000億を達成しよう!」といったものすごくわかりやすくて盛り上がるビジョンがいつも掲げられていて、営業所の新人営業マンにいたるまで社員全員にしっかりと共有されていました。 掲げるだけでなく、つねに全社、営業所、個人の進捗がわかるようになっていて、ワッショイワッショイやりながら数年で次々とビジョンを実現させていく、活躍した人は新人であっても全社レベルで表彰してもらえる、そんな感じでした。 上記の3つの要素がそろっていると、メンバーには自然にチームに対する貢献意欲と責任感が生まれます。貢献意欲と責任感が生まれれば、人は自ら動くことができるのです。 逆に、ぜんぜんやりがいを感じられなくて、ほとんどの社員が生活のためにいやいや働いているような会社では社員を動かすために「強制力」が必要になってしまいます。 リーダーの仕事は社員が納得して働き、力を十二分に発揮できる環境をつくることです。 それができるのはリーダーしかいないのです。 わたしの仕事はリーダーに環境のつくり方を教えることです。 現に、コンサルティングが進んでいくと、わたしのクライアントの社長さんたちはほとんど怒らなくなります。 会話が明るくなり、冗談が増え、社内の雰囲気が見ちがえるようによくなります。 そんな社内の空気の変化と比例して売上もアップしていくのです。

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