仕事はイヤイヤやるもの?
クライアントのリーダークラスの人たちと話をしていてびっくりすることがありました。
「やりがいとか、仕事を楽しむとか、考えたこともありませんでした。」
というのです。
このクライアントは、日本人なら誰でも知っているレベルの超大手企業です。
入るだけでも相当な難関を乗り越えなければならなかったはずです。
そこを勝ち抜いて、ここまでやってきた人たちです。
ひとりの方は社会人野球の監督として弱小チームを全国優勝に導いた実績も持っています。
もうひとりの方は、50歳を過ぎてから100キロのウルトラマラソンに挑戦して完走してます。
普通のマラソンなら3時間台で走れるようになったそうです。
みなさんただ者ではないのです。
そんなただ者ではない人たちが、冒頭の発言です。
つまり、仕事は生活のためにイヤイヤやるものだと思っていたと言うのです。
な~~~んてもったいない!
優勝監督だった方は、部下との信頼関係がつくれずに悩んでいるのだそうです。
ウルトラマラソンの方は、上司から「能力を発揮できていない」と言われています。
これこそ宝の持ち腐れ!
大きな資源の損出です。
なんで、こんなことになっちゃうの?
●理由は明白でした。
「何のためにやるのか?」
この会社では、組織として動くときにもっとも重要な要素が誰からも語られていないのです。
組織として「目指すもの」が、まったく共有されていないのです。
目標はあります。ノルマもあります。
だけど、何のためにその目標を追いかけるのかは、誰からも語られていないのです。いや、考えていないのです。
会社がデカすぎるのです。
つぶれるなんてありえないと思えるほどデカすぎるのです。
だから、いちばん重要なことが抜け落ちてしまっているのです。
理由なんか考えなくていいわけです。
納得いこうがいくまいが、疑問に思ってはいけないのです。
「言われたからやる」
「仕事だからやる」
「生活のためにやる」
こんな思考があたりまえになって、風土として定着してしまっているのです。
それでもつぶれないところに大企業の悲劇があります。
だから、よけいに変われない。
中小企業ならつぶれています。
仕事に目的が持てていない、できればやらずにすませたい、だけど評価は下げたくない
だから、いいわけが多くなる。責任逃れがうまくなる。
そして、仕事の能力ではなく、処世術に長けた人間のほうが出世してしまう。
それを見ていて、純粋でやる気がある人ほど意欲を失っていく。
こんな悪循環が繰り返されていくのです。
(上記のおふたりは、とても純粋で意欲もある方ですが、組織で力を発揮し切れていないのです。)
去年、奇跡の日本一をはたした「東北楽天イーグルス」は、星野監督が怖いからいやいやがんばって優勝したのではありません。
「東北を元気にしたい!」
星野監督が就任した直後に発生した巨大地震。
被災地の惨状を間近で目にした選手たちが抱いた強烈な思いが「力を合わせて目指すもの」としてはっきりと共有されたことによって生まれた奇跡であることはまちがいないでしょう。
野球の実力だけだったら、巨人のほうが上だったかもしれません。
思いの強さが、巨人を圧倒的に上回っていたのです。
「仕事は生活のためにするもの」それはそうかもしれません。
だからって、イヤイヤやってたらもったいない!
どうせやるなら、みんなが持っている力を思いっきり発揮できるような、それだけの価値を感じるような仕事をしたいじゃあないですか!
そのために、絶対に必要なのが「何のためにやるのか?」なのです。
メーカーの営業チームのリーダーだったら
「うちの会社が日本一お客さんに喜んでもらえる商品を出せるように おれたちはお客さんの声を聞きまくろう」
とか
学習教材の営業だったら「自分の担当エリアが日本一学力の高いエリアになるように 教材を使ってもらおう」とか
メンバーが誇りとやりがいを持てるような目的を持つことです。
それがあってはじめて仕事は楽しくなる。
楽しくなればどんどんきついことにも挑戦したくなる(ウルトラマラソンのように)
挑戦すれば、ますます力がついてくる
と、好循環が生まれてくるのです。
かくいう私も、以前はいやいや仕事をしていました。
それが今ではほんとうに仕事が楽しいと感じます。
仕事を楽しめるということは、ほんとうにありがたいことだとつくづく感じます。
あなたが経営者やリーダーなら
「何のためにやるのか?」
を示すことは、もっとも重要な仕事です。
まさか「部下は上司の言うことを聞くのが当たり前」なんて思ってないでしょうね?
「給料もらってんだから、黙って言われたことをやれ!」なんて言ってないでしょうね?
それって、リーダーとしての完全な職務怠慢ですよ。
「何のためにやるのか」を明確にしてください。
そして、それを全員が共感できるように伝えてください。
目的が伝われば、仕事は80%以上成功したようなものです。
わたしがコンサルテイングでまっさきにやるのも目的を明確にすることです。
冒頭のクライアントのリーダーさんたちも、最近では「仕事も、野球やマラソンと同じなんだ、みんなでひとつのことを目指せればもっともっとすごいことができるんだ、そしてそれはすごく楽しいことなんだ!」と思えるようになってきたと言ってくれます。
すべてのスタートはそこからなのです。
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