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庄司 充

不安でしょうがない

とつぜんですが、ジェットコースターに乗るのは好きですか?

わたしは、とても苦手です。

ついでに言うと飛行機も苦手だし、のんびり楽しいはずの観覧車ですら乗りたくありません。

高いところがきらいということはもちろんなのですが、正直言って不安でしょうがないのです。

何が不安なのかって?  

じつは・・・  こわれるんじゃないかと思ってしまうんです。

つくった人や整備をしている人にはまったく失礼な話だと思うのですが、人間誰だって完璧な人はいないでしょう? たまには調子の悪い日だってあると思うんですよ。

自分のことを考えたって、1年365日 絶好調ってわけではないし、「今日はなんだか調子悪いなあ・・・」っていうときもあるじゃあないですか。

ほとんどの人がわたしよりはマシな人だとしても、それでもやっぱりミスすることはあると思うんですよね。

とかなんとか、そんなマイナスなことばかりが頭に浮かんできてしまってとてもじゃないけどわざわざお金を払って乗ろうなどとは思えないのです。

まあ、いくらわたしがヘリクツを言っても乗るのが楽しくてしょうがないような陽気な人たちからすれば「小心者」「臆病者」と笑われるだけだと思うのですが、意外とこの心配性の性格、ことビジネスにおいては悪いことばかりでもなさそうなのです。

わたしの社会人生活をふり返ると、プレーヤーとしてよりもチームリーダーとしての実績のほうが圧倒的に高いのですが、どうやらそこには「心配性」がプラスに作用しているようなのです。

一般的に優秀なリーダー像って、どんな人を想像しますか?

アンケートをとったわけではないのでわかりませんが、

・楽観的で

・度胸があって

・行動力がある

というように、豪快な人物像を抱く人は多いのではないでしょうか?

ところがわたしの場合、ジェットコースターや飛行機に限らず、仕事においてもつねに悪いことが起きるのではないかと考えてしまうような悲観的で臆病なタイプです。

だけど、ビジネスとジェットコースターでは決定的なちがいがあります。

それは・・・

事前に手を打っておくことができるということです。

たとえば

メールで作業内容は伝えたけど、作業の目的はメンバーにちゃんと理解されてるだろうか? と心配になれば、念のためにもう一度電話で確認しておくことができます。 

メンバーは期限に間に合わせるとがんばってくれてるけども、万が一のために、期限を延ばせないか顧客にもう一度だけ交渉してみようということもできます。

つまり、心配性であるがゆえに

・いつも最悪のことを考える

・打てる手は打っておく

・あとはまかせる

という行動パターンでつねに動いていたのです。

こうして無意識のうちに、いつもできるかぎりの防御策を打つくせがついていて、それが功を奏していたようなのです。

さらにビジネスの場合は、実務は部下にまかせていてもつねに途中経過を確認することはできるし、状況がよくなければいっしょに策を考えることもできます。

どう考えてもまだまかせてはいけない人に丸投げして、途中ほとんど状況を把握することもなく最終結果だけを見て激怒している人がいますが、わたしには信じられません。

何かの本にも「悲観的に計画を立てて、楽観的に行動することが大事」という意味のことが書いてありましたが、まったく同感です。

わたしの釣り仲間に、こんな人がいました。

仮にAくんとしましょう。

Aくんはわたしよりも釣り歴が長く釣り場にくわしいので、いっしょに釣りに行くときにはいつも彼がリーダーシップをとっていました。

ある日、初心者の友人を同行したときのこと、まだ遠いけども台風が発生したという情報もあり、わたしは今日は安全な場所にしたほうがいいと主張したのですが、大物を釣りたくて仕方がないAくんは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言って聞かず、けっきょく初心者の友人を連れて沖のハードな磯に乗ってしまったのです。

結果、危うく全員流されそうになりました。

友人はそれ以来、釣りに行かなくなりました。

そのときわたしは、はっきりと確信したのでした。

「チームを預かるリーダーは、心配性なぐらいでちょうどいい!」

追記

そんなわけで、わたしはガシャンと身動きできないようにされて自分では何の手を打つこともできないジェットコースターがきらいなのです。

ちなみに、あなたのまわりの人にもジェットコースターが好きかどうかを聞いてみてください。

おそらくリーダーとして信頼をおける人ほど「きらい」と言うはずです。(はいはい、そうです、言い訳です。)

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