なぜ大企業ではイエスマンが出世してしまうのか?
中小企業を中心に営業チーム強化のコンサルティングを行っているわたしですが、誰でも知ってるレベルの大企業から研修を依頼されることもあります。先日も某有名企業の新人マネジャー研修の打ち合わせに行ったのですが、そんなときにものすごく気になることがあります。それは、
部下や現場から、陰でダメ出しされている役職者が非常に多い
ということです。「役職者」と言ってもいろいろですが、部下10数人の営業所長クラスから大企業の役員まで、中小企業なら社長の下のNo.2も含みます。ある程度現場から離れた「偉い人」に対して、現場の人たちからは「あいつ、使えねえ」という目が向けられていることが非常に多いんです。
あまりにもそれが多いので、以前もこのメルマガで登場した文書化コンサルタント、開米さんと議論をしてみたところ、なかなか意外な発見をしてしまいましたのでその話を書きたいと思います。
開米:「あいつ、使えねえ」というのが現場の声ですか、なーかなか手厳しいですね。具体的にどういうところが使えねえ、なんでしょうね?
庄司:一番多いのが、現場が何か新しいアイデアを出すたびに、前例がないからダメだ、とか言っちゃうタイプですね。
開米:新しいことやるのに前例もクソもあるかボケ・・・なんて言っちゃうわけにはいかないんでしょうね。
庄司:陰では言ってるかもしれませんけど(笑)、そういう前例主義の人でも一応上司ですからねえ。副社長の場合もありますし。
開米:で、そういう人が抵抗勢力になっちゃうわけですね。
庄司:そうなんです。
いろいろ話しているうちに、そういう「抵抗勢力」は要するにイエスマンである、ということに気がつきました。
開米:なるほど、社長に対してはイエスマンで、現場の提案はとりあえずノーと言っておくタイプですね。社長の機嫌を取るのに熱心で現場のことは見てないというか(笑)
庄司:そうですねえ、不思議なのは、どうしてこういう人が役職についちゃうんだろう? ってことです。私が在籍していたリクルートはそういう会社じゃなかったんですが、一般の日本の大企業ではこういうケースのほうが多いみたいなんですよね。
開米:それは何か理由があってそうなったんじゃないかという気がしますけど。一般の大企業でイエスマンが役職についちゃうのにも、リクルートがそうじゃなかったのにも、どちらもそれなりに合理的な理由があった、とは考えられませんか・・・?
そう聞かれてあらためて考えました。なにしろ自分がいた会社なのでリクルートのことはわかります。リクルートは、新しい事業、それまで存在しなかった新市場の開拓をやり続けてきた会社なので、前例なんてないのが当たり前でした。以前書いたように、新人メンバーも含めて全員でアイデアを出してどんどん試してみる、そんな空気が全社に浸透していました。
庄司:・・・あ、そうか。イエスマンのほうが役に立つんだ。社長にとっては。
開米:おお! それはいったいどういうことですか?
庄司:リクルートみたいな変わったとこじゃない、普通の会社にとっては、イエスマンのほうが会社の成長には役に立っただろうな、と。その理由に思い当たったんです!
(長くなりそうなので続きは次号で)
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