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庄司 充

「営業は結果がすべて」・・・か?

「営業は結果がすべてだ!」と、したり顔で言っている部長や課長を見かけますが、ほんとうにそうでしょうか?

なんだかかっこよく聞こえるセリフではありますが、わたしには「結果を見ることしかできないダメな上司です。」と自ら宣言しているように聞こえてしまいます。

「結果がすべて」というのと「結果しか見ていない」のは、まったく意味がちがうのです。

たとえばマラソンのコーチが、「2時間30分で走ってこい!」という指示だけ出して、トレーニング中に伴走もせずにゴール付近で待っていて、ランナーが目標を10分オーバーしたら「気合が足りない!結果がすべてだ!もっと死ぬ気で走れ!」と言っていたらどうでしょう?

そんなコーチ、一発でクビですよね。

これと同じことをやってしまっている人がいっぱいいるんですよ、営業の世界では。

結果を出したければ、必要なのは「気合」ではなく「プロセスを把握する」ことです。

マラソンでいえば、スタートから10キロ地点までは1キロ○分○秒のラップをキープしてリズムをつかみ、10キロから20キロの地点までは○分○秒までペースアップする。25キロ地点の上り坂では○分のペースに抑えて体力を消耗しないようにする。等々

というように、プロセスごとに細かく計画を立てて、トレーニングで実際にやってみて、ほんとうに計画通りに実行できるかを検証する。

そうしたことをくり返すことで、20キロ地点までは計画通りに走れるが上り坂でペースが予定以上に落ちてしまうというようなことがわかり、上り坂でもペースを維持できる筋力をつける必要がある、というように課題を明確にした指導が可能になるわけです。

「結果を出せ」というだけだったら、誰でもできますよね。

「結果を出せ」と言われて結果が出るんだったら、そもそも上司なんかいりません。

営業マンにとって必要なのは、

「どこでつまずいているのか?」を把握してくれて

「どうすれば結果が出せるのか?」をいっしょに考えてくれる人です。

結果が出ていない人は、気合が足りないんじゃなくて「途中の行動」がまちがっているのです。

今の市場は「行けば売れる」市場ではありません。

まちがった行動をしていると、いくらがんばっても売れません。

ひと昔前とはちがうのです。

わたしのクライアントの社長さんは、新規開拓がなかなかできなくて、せっかく採用した営業マンがすぐにやめてしまうといって嘆いていました。

さっそくコンサルティングを開始したところ、この会社は典型的な「売れ売れミーティング」をやっていましたので、即座に上記のマラソンの例のようにプロセスごとに計画を立てて、途中経過を把握して検証する手法を導入してミーティングのやり方を変えました。

このような方法を「プロセス・マネジメント」といいます。

結果よりも「途中の行動」に注目する方法です。

プロセスマネジメントでは、営業マンに対して「売ってこい!」ではなく「売らなくていいから、この通りの行動をしてきて、断られらたらその内容を報告して」という指示になります。

こうして、「途中でどんな行動をすると どんな結果が出るのか?」という因果関係を調べながら、全員で売れる方法を見つけ出していきます。

結果は、ひと月も経たないうちに見ちがえるように新規の契約が取れるようになりました。

個人の力量にもほとんど左右されません。

そこの社長さんは「売れ売れ言ってるときはぜんぜん売れないのに、売らなくていいと言うと売ってくるんですねえ。」と、自嘲気味に笑っていました。

あなたが営業の責任者なら、「結果がすべて」ではなく「途中の行動を把握して、結果を変えられる」リーダーになってくださいね。

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